低反発と高反発どっちがいいの?
何が違くて、それぞれどんなメリットがあるの?
マットレス選びをする際に最初に考えるのが「高反発か低反発か」という方が多いと思います。また、「詳しくはわからないけど聞いたことがある」という方もいるのではないでしょうか。
このページでは、マットレスにおいての低反発・高反発の違いやメリット・デメリット、他の素材との比較などについて書いています。ゼロからマットレス選びをする方でもわかるように専門用語を極力使わず、図や表を用いて理解しやすくなっていますので参考にしてみてください。
マットレスは日々の体調やモチベーションに大きく影響してきますし、選び方を失敗すると大きな金額が無駄になってしまいますので丁寧に選びましょう。
【前提】低反発・高反発が具体的にイメージできていない方へ
「低反発」「高反発」は主にウレタンフォームの話
高反発ウレタン (高弾性) | ウレタン | 低反発ウレタン |
ポケットコイル | ボンネルコイル | 高反発ファイバー |
「高反発」と表現される素材はウレタン以外にもありますが、「低反発」か「高反発」か厳密な基準で決まっているのはウレタンフォームのみです。ウレタン以外の素材の「高反発」はほぼ感覚的なものなので、おまけ程度と考えてください。(高反発ファイバーなど)
さらに、「低反発」と呼ばれるものはウレタンにしか存在しません。
そのため、「低反発」か「高反発」で悩んでいる人は”ウレタンマットレスの種類”に的を絞って考えてみましょう。
低反発・高反発の以外にも存在する…?
実は、マットレスのウレタンは3種類に分けられます。
反発力 | ||
---|---|---|
高反発ウレタン (または高弾性ウレタン) | 高 | |
ウレタン (または一般ウレタン) | 中 | |
低反発ウレタン | 低 |
反発力の強さは、 高反発ウレタン>ウレタン>低反発ウレタン の順です。(後の低反発・高反発の違いでも書きますが、「硬さ」と「反発力」は同じ意味ではありません。)
高反発か低反発の2択でよく考えられますが、実は一般ウレタンが大半なのです。その一般ウレタンの反発力はズバリ”中途半端”で、特化した機能性はありません。
とはいえ、マットレスは1つの素材だけで作られているとは限らず、複数のウレタンを組み合わせた機能性の高いマットレスもあります。
例えば、「下層は分厚い一般ウレタン、上層は薄い低反発ウレタン」のマットレスでは、通常のウレタンよりもふんわりとした心地の良い感触となります。
そのためウレタンマットレスの選択肢は、低反発か高反発のみではなく一般ウレタンのほか、複数種類を組み合わせたマットレスもあることを知っておいてください。
低反発・高反発ウレタンの違いを比較
低反発 | 高反発 | |
---|---|---|
硬さ | 柔らかめ | 硬め |
反発力 | 弱い | 強い |
寝心地 | ふんわり | 安定感がある |
耐久性 | へたりやすい | へたりにくい |
相場 | 安め | やや高め |
通気性 | 蒸れやすい | やや蒸れやすい |
硬さ
基本的に、「低反発は柔らかく、高反発は硬め」というのが主流です。
しかし、一般ウレタンが高反発ウレタンのマットレスよりも硬い場合もあります。厳密にいうと、「低反発・高反発」という言葉は硬さを表しているのではなく、あくまで「反発力」のことを指しているのです。
そのため、硬さと反発力はおおむね関係があるものの、物によって差がある、というのが正確な答えです。
↓硬さと反発力の違いは次をご覧ください。
反発力
「反発力」と「硬さ」の違いを交えて説明します。
「硬さ」は寝転がった時にどれだけ沈むかに関わるものです。そのため、適した硬さは体型や体重で異なり、硬いと感じるかどうかも個人で大きく変わってきます。
一方、「反発力」とは跳ね返す力のことで、起き上がったり寝返りする際に影響し、反発力が高ければ高いほど体をサポートしてくれるので起き上がりや寝返りが楽になります。
名の通り高反発は反発力があるので寝返りがしやすく、低反発は反発力がないので寝返りはしにくいけれど、体にじんわり馴染むようなフィット感があります。
- 腰痛や体のしびれの軽減につながる
- 長時間の正座で足がしびれるのと同じように、睡眠中に寝返りがないと圧迫されて血流が悪くなり、体の痛みを感じやすくなります。圧迫を偏らせないために寝返りが重要です。
- 布団内の温度を調節し深い眠りを促す
- 睡眠中は体温が下がることで眠りが深くなるのですが、布団内は熱がこもって温度が高くなります。寝返りで布団内の空気が入れ替わることで、常に快適でよい眠りを得られます。
寝返りに大きなデメリットはありませんので、寝返りをサポートしてくれる高反発は機能面において確実に優れていると言えます。
寝心地
低反発と高反発、どちらも寝心地は良いのですが、寝心地のタイプが違うため体型や感覚の違いによって好みが分かれます。
- 低反発
-
ふんわりとした柔らかな寝心地
- 高反発
-
正しい寝姿勢になりやすく体が楽に感じる寝心地
ちなみに一般ウレタンは、低反発の良さも高反発の良さも無いのでパッとしない寝心地です。
耐久性
耐久性にははっきりとした差があります。低反発はへたりやすく、高反発はへたりにくい素材です。
そのため低反発ウレタンは、長く使い続けていると初期のふんわりとした感触がなくなり、寝心地の良さを感じられなくなる可能性があります。
高反発ウレタンは、密度の高いつくりなのでへたりの原因となる気泡が少なく、耐久性に優れている素材です。
相場
一部高級ブランドを除いて、低反発は安く購入できます。世間から信頼のあるメーカーでも1万円以内で買えるマットレスがあり手が出しやすいことは、低反発の大きな魅力と言えるでしょう。
一方、高反発は低反発に比べてやや高めの相場です。ウレタンの密度が高く、その分原材料にコストがかかっているためです。
「ウレタンマットレスがものによって値段が全然違うのに違いがわからない」というケースの原因は、主にこのウレタンの密度が関わってきています。
通気性
低反発の方が通気性は悪く蒸れやすいため、睡眠中の発汗が多い人には合いません。
とはいえ、ウレタン自体の通気性が良くないので、低反発でも高反発でも通気性に大きな差はありません。
低反発・高反発のメリット、デメリット
低反発 | 高反発 | |
---|---|---|
メリット | ふんわりとした寝心地 リラックス感が味わえる 安い | 寝返りがしやすい 体の痛みの軽減が期待できる 長く使える |
デメリット | 蒸れやすい 耐久性が低い 寝返りがしにくい | 値段がやや高い 重たい |
低反発 | 高反発 | |
---|---|---|
リ ッ ト | メふんわりとした寝心地 リラックス感が味わえる 安い | 寝返りがしやすい 体の痛みの軽減が期待できる 長く使える |
メ リ ッ ト | デ蒸れやすい 耐久性が低い 寝返りがしにくい | 値段がやや高い 重たい |
メリット
低反発のメリット
低反発のメリットは、なんといってもふんわりと気持ちの良い寝心地です。体が優しく包まれているようなリラックス感を味わえます。
また、全体的に価格がリーズナブルで、購入しやすい価格であることもメリットのひとつです。
高反発のメリット
高反発のメリットは、体の沈み込みがなく寝返りがうちやすいことです。そのため、腰痛や背中痛・血行不良によるしびれるような痛みなど、寝起きの不調を抱える人にとっては最適の素材と言えます。
また、高密度なつくりのため耐久性に優れており、長く使用できることも大きなメリットのひとつです。
デメリット
低反発のデメリット
低反発のデメリットは蒸れやすく、へたりやすいことです。通気性が良くない造りなうえ、元に戻ろうとする力も弱いため耐久性も優れているとは言えません。
また、体がマットレスに沈み込む造りである分寝返りがしにくいため、体の痛みを感じる場合もあります。
高反発のデメリット
高反発のデメリットは、低反発に比べて値段が高いことです。もちろんコストがかかる分値段が高くなっているだけなのですが、予算に余裕のない人にとってはデメリットでしょう。
また、高反発は密度の高いウレタンを使用している分、ずっしりと重くなります。マットレスは頻繁に動かすものではありませんが、お手入れなどでマットレスを壁に立てかける際は少し大変です。
低反発・高反発ウレタンと他の素材を比較
素材 | 耐久性 | 体圧分散性 | 寝返りのしやすさ | 通気性 |
---|---|---|---|---|
高反発ウレタン | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
ウレタン | ○ | ○ | ○ | △ |
低反発ウレタン | △ | ◎ | △ | △ |
ポケットコイル | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
ボンネルコイル | ○ | △ | ○ | ○ |
ファイバー | ○ | △ | ○ | ◎ |
ラテックス | ○ | ◎ | ◎ | △ |
高反発ウレタンは、通気性以外の耐久性・体圧分散性・寝返りのしやすさにおいて優秀であり、バランスのとれた素材です。ポケットコイルも弱点が少なく、全体的に優れた機能性を持っています。
そのため、高品質なものを手に入れたいという場合は、ポケットコイルまたは高反発ウレタンを選びましょう。ポケットコイルと高反発ウレタンはほかと比べ値が張りますが、長期に渡り使い続けられるためコスパの良い買いものとなります。
低反発ウレタンは体圧分散性のみに優れ、少々クセがある素材と言えます。そのため、体に合う合わないが大きく分かれる素材です。
高反発ファイバーは、衛生面や蒸れにくさがダントツで優れています。上記のマットレス素材で唯一丸洗いが可能なので、ウレタンの衛生面が気になる方はファイバー素材が向いています。
ボンネルコイルか一般ウレタンは安さが売りで特化した機能はありませんが、価格を最小限に抑えたい人におすすめです。
低反発と高反発、マットレスならどっちが良い?
「低反発と高反発どちらの方が良いか」をはっきりと決めるなら、断然高反発ウレタンです。
低反発のみを使用したマットレスは、寝返りのしにくさや蒸れやすさで眠りの深さにまで影響があるため、あまりおすすめできる素材ではありません。
ただ、マットレスには複数構造のものがあり、「メインは高反発や一般ウレタンを使用しているけれど、表面だけに薄い低反発ウレタンを重ねている」というものもあります。
そのようなケースなら大した問題にはならず、むしろ高反発だけのマットレスよりふんわりとした心地良さも備えられ、素材のいいとこどりを可能にしています。例えば、ポケットコイルで有名なシモンズやサータの高級マットレスは、コイルの上に敷く詰めものに上質な低反発ウレタン(または高反発ウレタン)を使用しているなど、ウレタンを良さを活用したマットレスは多数あるのです。
つまり、足りない機能性を補い合えるため、一概に「低反発は良くない」とは言えません。低反発は単一だと機能性に劣りますが、組み合わせ次第では上質なマットレスとなります。
低反発と高反発のマットレスを見分けるには?
低反発マットレスを見分ける場合は、「低反発」と記載されたものであれば大抵間違っていません。
ただ問題は、高反発マットレスの見分け方です。高反発でも低反発でもない、ただ硬いだけの一般ウレタンを「高反発」と呼ぶ業者が一部存在していて、一般人が見分けるのは難しくなっています。
そこで、「高反発ウレタンか、硬いだけのウレタン」を見分けるカンタンな方法をお教えします。
- 4万円以上である
- 「高弾性」もしくは「反発弾性率 50%以上」というワードがある
- マットレスに鉄球を落として半分以上跳ね返っている写真、もしくは記載がある
以上の条件に1つでも当てはまれば高反発である可能性は高いといえます。2つ以上あればより信憑性は高まります。マットレス選びの参考にしてみてください。
あの話題のウレタンマットレスは低反発?高反発?
コアラマットレス
コアラマットレスは、現在「オリジナルコアラマットレス」と「NEWコアラマットレス」の2種類のマットレスが展開されており、どちらも複数層のタイプのマットレスです。
まずオリジナルコアラマットレスは、下層には高反発ウレタンが備わっているものの、上層の低反発ウレタンが分厚いため寝心地としてはほぼ低反発です。
もう一つのNewコアラマットレスは、 下層も上層も反発力の高いウレタンが使用されているため高反発よりの寝心地であると言えます。
オリジナルコアラマットレスは、たびたび「体が痛くなった」という口コミを見かけるため、腰痛持ちの方や体の痛みに悩んでいる方はNewコアラマットレスをおすすめします。
トゥルースリーパー
”低反発マットレスと言えばトゥルースリーパー”というレベルで、低反発の中で代表的なマットレスです。
リニューアルして下層に硬めのウレタンが少し追加されサポート力がついたものの、基本は低反発であることに変わりはありません。
マニフレックス「メッシュウィング」
マニフレックス「メッシュウィング」は複数構造ではなく、高反発ウレタン100%でできたマットレスです。
薄型でありながらサポート力が高く、長期保証があるなどの理由から、高反発ウレタンマットレスの中でも特に有名で人気があるマットレスです。
エマスリープ
エマスリープは3層構造で、上層は低反発ではないものの、柔らかいウレタンを使用しています。
下層と中間層は公表されていないため低反発か高反発かは不明ですが、柔らかい上層が分厚めの造りなので全体的にはふんわりとした寝心地です。