寝汗がひどくて夜中に目が覚める方は、「睡眠には悪い影響はあるのか?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
このページでは、睡眠学の観点から寝汗の原因と対処法をご紹介します。寝汗を放っておくと危険性も高まりますので、寝汗がひどい方は参考にしてみてください。
寝汗がひどい原因4つ
シンプルに適切な室温・湿度になっていない
快適に眠れる室温の目安は、夏は25℃〜26℃、冬は20℃前後です。
そのため、熱帯夜だというにもかかわらず、風邪をひかないようにと夜中にエアコンを止めてしまうのはNGです。
また、室温ばかりに注目して湿度管理を疎かにしていることも、寝汗がひどくなる原因となってしまいます。
湿度50%を超えると不快指数は高まり、寝汗をかきやすくなります。
寝付くために飲む“寝酒”
お酒を寝つきを良くするための習慣として飲んでいる人はたくさんいますが、その寝酒も寝汗の大きな原因のひとつです。
どういうメカニズムで寝汗をかくかというと、アルコールを摂取すると体内には「アセトアルデヒド」という物質が発生します。
アセトアルデヒドは体内で分解され汗や尿となって体外に出るため、就寝前にお酒を飲むと寝汗となって排出されます。
当然、就寝前のお酒の量が多ければ多いほどアセトアルデヒドは大量に発生するので、寝汗も増えてしまうのです。
精神的なストレス
「嫌な夢を見たとき、寝汗を大量にかいていた」という経験がある人も少なくないでしょう。
その現象から分かるように、人は精神的に大きなストレスがかかると自律神経が乱れ、体温調整がうまくできなくなってしまいます。
体温調整の機能が正常に働かなくなると発汗にも影響して、大量に寝汗をかく原因となります。
そのため、ストレスと寝汗はとても密接した関係であると言えるのです。
ホルモンバランスの乱れ
更年期障害や、PMS(月経前症候群)といったホルモンバランスの乱れも寝汗をかく原因となります。
なぜかというと、ホルモンバランスが乱れると自律神経にも影響し、連携して誤作動を起こしてしまうからです。
ホルモンバランスが乱れ自律神経正常に働かないと、体の体温調節機能に不調をきたしたり、汗を促す交感神経の働きが過敏になったりと、大量の寝汗に繋がります。
更年期障害の症状のひとつである大量の発汗は、女性のみならず男性にも多く見られる症状です。
ひどい寝汗を放っておくことの危険性
脱水症状
就寝時は、冬でも200ml前後、熱帯夜には500ml以上の水分を失っています。
そのため、寝汗をたくさんかく人は、それ以上の水分が失われ脱水症状を引き起こしやすくなっているのです。
「喉が渇いた」と感じる時点で既に脱水症状は始まっており、脱水症状が進行すると頭痛や下痢、嘔吐などの症状が表れ、ついには命に関わる危険性も出てきます。
眠りが浅くなる
寝汗をかくと、当然衣類や寝具は湿ってしまい、心地良い眠りにはつけません。
そうすると、「寝汗が不快で目が覚める→中途覚醒により自律神経が乱れ、さらに寝汗をかく→寝汗が不快で眠れない」という悪循環を引き起こします。
また、寝汗による衣類や寝具の汗の匂いも、眠りを妨げる原因です。
眠りが浅くなれば、就寝時間を長く確保していたとしても充分な休息は得られず、日中も疲れやすくなってしまいます。
寝具のカビ繁殖
カビは、寝汗の水分をエサに繁殖しやすくなります。
寝室や寝具にカビが発生すると、睡眠中カビの胞子を知らないうちに吸い込んでしまいアレルギーやぜんそくを引き起こすリスクが高まります。
肌トラブル
寝汗が「あせも」の原因となってしまうのは想像するに難くないことですが、たかが「あせも」と侮ってはいけません。
あせもは、汗腺がつまってしまうことにより、かゆみや痛みなどの不快感を生じさせます。
その結果寝苦しくなり、睡眠不足へと繋がってしまうケースも珍しいことではありません。
また、多すぎる寝汗は毎晩のスキンケアを無駄にしてしまい、乾燥肌の原因にもなります。
【すぐできる!】寝汗がひどい人に実践してほしい対策
水を寝る前と起きた後に1杯ずつ
寝る前にコップ1杯、起きたときにもコップ1杯の水を飲み、就寝前後は合計500ml程度の水を飲むように意識しましょう。
お茶やコーヒーは利尿作用があるので、お水が1番おすすめです。刺激を減らすために常温のお水が最適。
また、ビールなどのアルコールはさらに強い利尿作用があるため、飲んだ分以上に体から水分を奪います。水分摂取として換算されませんので注意してください。
部屋の温度と湿度
適切な温度・湿度
- 夏……25℃〜26℃
- 冬……20℃前後
- 湿度……50%
室温と湿度を快適に保つために、エアコンやサーキュレーターを上手に活用しましょう。
一昔前は、「冷房や扇風機のつけっぱなしは体に良くない」と言われていましたが、現在その常識は当てはまりません。
近年夏の外気温は昔よりはるかに高く、日差しのない夜でも気温は下がらないので、エアコンはつけっぱなしで寝てもOKです。
とはいえ、冷えすぎも体調不良の原因となってしまうため、体に直接風が当たらないように注意しましょう。
また、女性と男性では筋肉量が異なるため、室温25℃〜26℃では寒いと感じる場合もあると思います。そのときは、掛け布団やタオルケットを活用したり、少し設定温度を上げて調節してください。
また、身近なものを使った除湿方法として、「ベッドサイドに凍ったペットボトルを置いておく」という方法も効果的です。
冷たいものに水滴が集まる原理を利用して、凍ったペットボトルに部屋の水分を集める仕組みの除湿法です。
朝起きたときにはペットボトルにかなりの量の水分が付いてしまうため、ペットボトルは受け皿の上に置きましょう。
氷枕を使う
熱帯夜には、氷枕を使って一時的に体温を下げることも寝汗予防になります。
なぜかというと、氷枕を使うと頭が冷えるだけでなく脳を冷やすことで入眠しやすくなり、深部体温を下げてくれる働きに繋がるからです。
深部体温が正常に下がれば自然に寝汗は落ち着き、快眠へと繋がります。
ただし、目元や首元はあまり冷やさないように気をつけましょう。
脳は、目元や首元などに通っている太い血管が冷やされると「体が冷えている」と勘違いして、逆に深部体温を上げようとしてしまいます。
氷枕で後頭部を冷やすやり方がベストです。
考え事を紙に書き出す
寝汗をかいてしまうほどのストレスがある人には、「ジャーナリング」をおすすめします。ジャーナリングとは思っていること、感じたことをひたすら紙に書き出してみることです。
気付かないうちに溜まっていたストレスが可視化されたり、感情を冷静に分析できたりするので、自然に頭が整理されます。
そして、紙に思いを書き出したあとは、ぐしゃぐしゃに丸めて捨ててみてください。
より一層心が軽くなり、爽快な気分へと繋がります。
ストレスは原因から解決することが1番ですが、そうと分かっていてもなかなか難しいものです。
お金もかからずにすぐに始められるストレス解消法として、ぜひジャーナリングを1度試してみてください。